一読して感動したのでシェアさせていただきます。
かなり長い文章ですが、敢えて全文を原文のまま書きます。
表題「背負ったランドセルの重さを・・・」
まるで夏本番を思わせるような強い日差しが降り注ぐ中を、今朝も子どもたちは大きなランドセルを背負いながら仲良く登校してきました。毎日当たり前のように目にする子どものランドセル。このランドセルには一体何が入っているのか、その重さを子どもから教えられたのは私が教師になって間もない頃の出来事でした。
当時の私は5年生の担任でした。40人近くの子どもたちとの学校生活は忙しく無我夢中の日々を送っていました。学級の1人だったI男は、明るく運動好きな子でしたが忘れ物が多いことが彼の難点でした。当時は今と違って集金等は担任が毎月、集めていました。毎朝毎朝「忘れました」と返事を繰り返す彼に、私は煩わしさと腹立たしさのあまり心無い言葉を幾度となく浴びせてしまいました。
ある日、元気だったはずのI男が欠席しました。次の日も。心配になり放課後に家庭訪問すると薄暗い家の奥からしおれた顔をのぞかせ消えるような声で話してくれました。
「先生、ごめんなさい。集金出せなくて。」
「お母さんが何とかして明日は持たせると言ってくれたから・・・。」
「本当にごめんなさい。」
この言葉を聞いた時、教師として人としての未熟さと至らなさを痛いほど感じました。30年以上たった今でも決して忘れられません。大失態です。教師失格です。私はいたたまれない気持ちで「いいからいいから」と何度も何度も繰り返すだけで精一杯でした。
月日が流れたある日、私がスーパーで買い物をしていると子ども連れの男性が駆け寄って来ました。あの日のI男でした。立派に成長した彼は私に向かって照れ臭そうに「先生お久しぶりです。お世話になりました。」と笑顔で話しかけてくれました。あんなつらい思いをさせた私に。その横で当時の彼によく似た可愛らしい男の子が無邪気に遊んでいました。あの日の記憶が一瞬のうちに蘇り、自分に対する恥ずかしさと彼に対するすまなさが再び胸にこみ上げてきました。唯一、笑顔と優しい言葉が救いでした・・・。
子どもたちは毎日毎日、ランドセルの中に教科書やノートと一緒に自分の力だけではどうすることもできない大きくて重いものを背負いつつ、それでも登校していることを彼の言葉と涙から教えられました。今日笑顔で登校した東明小294人も大きさや重さに違いこそあれ一人一人必ず肩(心)に食い込むものを背負って登校しているはずです。背負った重さを忘れられる楽しい学校づくり、その重さをはね返す力を養うことのできる確かな学校づくりを目指します。私たち東明小学校の職員は、子どもの笑顔が何物にも代えがたい喜びです。私のような愚かな対応をする教師は一人としていないはずです。
着任して僅か2か月足らずですが、東明小学校区は保護者と学校、地域が一体となって教育(共育)を進められる温かい気風があることを強く感じております。そうした皆様の支えを頂きながら、全ては子どものためにとの信念のもとに職員一同、「子供が主役、一人一人が輝く東明小学校」めざして歩んで参ります。どうぞ、よろしくお願いいたします。(以上)
子どもたちを学校に預けている親として、こういう文章を書かれる校長先生がおられることに感謝し、安心するとともに誇りに思います。
私は今日からまた校長先生と一緒に子どもたちの見守りをすることを楽しみに感じてきました。
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