2013年9月13日金曜日

可児市職員の給与支給の特例に関する条例の制定について

昨日、一般質問終了後に「可児市職員の給与支給の特例に関する条例の制定について」について同じ会派の澤野議員より質疑が出され、総務部長が答弁しました。
この議案は私が副委員長を務める総務企画委員会の付託案件です。



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この議案については以下のような経緯があります。

国は、地方自治体に対して、今年7月からの地方公務員給与の削減を強く求めてきました。
これに対して、例えば、全国市長会議で国の要請に対する批判決議がなされるなど、全国の自治体は、国への不満や、不信感を募らせています。
過去にも、三位一体の改革による地方交付税の大幅削減など、自治体の財政に重大な影響を与える施策はありましたが、この度の給与削減要請は、質的に大きく異なっています。

国(国家公務員)は、平成24年度と25年度の2年間、期限付きで平均7.8%の給与削減を実施しています。理由は、国の厳しい財政状況と、東日本大震災の復興財源の一部にするためです。
これを受けて、国は、平成25年1月、地方に対して、「国に準じた」地方公務員給与を要請し、各自治体や地方議会は、ここ数ヶ月、様々な議論を行ってきました。

自治体が給与削減を行う場合には、職員組合との交渉や、議会での給与削減に関する特例条例の議決など、様々な手続きが必要となります。
国の要請に基づいて、6月までに議会での議決を行い、7月から給与削減を実施した自治体は826、一方、減額していない団体は、618(約35%)です。

国は、地方が給与削減を行うことを前提として、今年度の地方交付税総額を削減する決定を行いました。
自治体の規模や事情にもよりますが、地方交付税を削減された自治体は、蓄えていた内部の貯金(財政調整基金など)を取り崩すとか、給与削減を渋々実施するといった対応をとることになります。
なお、全国の自治体のうち、国からの地方交付税に頼らず、財政運営ができるのは、都道府県では東京都のみ、市町村では、東京都内や愛知県内など、主に都市部の48団体、合わせて、49団体(約3%)のみです。

さらに国は、先般、削減未実施の自治体に対して、9月議会での給与減額条例の議決と、10月からの実施について、再度強く要請しました。
この新制度では、自治体への交付税配分の計算(人件費部分の基準日)時点を、今年の10月1日とすることも、同時に臭わせています。

「今年の10月までに給与削減をしないと、来年の交付税を減らす。」ということです。

一方、国では、平成26年度から、新たな交付税算定についての制度設計を進めています。この中で、給与削減など行革努力で成果を上げた自治体に、交付税を手厚く配分する方法の検討が行われています。
三位一体の改革による交付税の大幅削減は、ほぼ全ての自治体に、同じような影響が及ぼされる内容でした。今回のように、個々の自治体ごとの配分(減額幅)が、プラスとマイナス両方向に大きく異なる恐れのある事態は、異例のことです。

国から「ムチ」を見せられ、同時に「アメ玉」が投げ込まれる状況になりました。
なぜそんなことをするのでしょうか。

「自分たちは、1年以上も前から給与削減をしているんだから、当然、県や市町村も、同じようにカットすべきだ。」
「このままでは、自治体間の横並びが崩れ、不公平が生じる。」
「国が要請しているんだから、自治体が従うのは当たり前。」

国にとって大事なのは、もはや、メンツを保つことだけなのかもしれません。

給与削減を実施しない自治体は、国のアメとムチにより、今後、急速に減っていくと思われます。
一方で、自治体の不満や、国への不信感は、募るばかりでしょう。

じわじわと国と地方の溝が広がり、ひいては消費税や道州制といった課題において、地方の反発があらわになり、国と地方の対立につながっていく。
いずれ、あれがターニングポイントだったと気が付くことになる。
しかし、それは国と地方の双方にとって、ひいては国民にとっても、望ましいことではありません。(引用終わり)

私も地方議員としてこういった地方分権を根底から覆すような国のやり方には納得がいきません。
9月20日には総務企画委員会でこの議案の審議が行われますが、採決の結果がどちらになるかはわかりません。
県内の市町村の動向にも注視し、様々な意見に耳を傾けて正しい判断をしたいと思います。